2026年10月20日

Mercury 3とは?Inceptionの拡散型LLM、1Mコンテキストと1000+ tok/s

Mercury 3(マーキュリー・スリー)は、Inceptionが2026年10月16日に公開した拡散型LLMで、100万トークンのコンテキストと1000+ tok/sの生成速度をうたい、エージェントや音声パイプラインなどレイテンシが積み上がる用途に向けたモデルです。OpenRouterでも同日から利用可能になっています。

室谷室谷代表取締役
Mercury 3、OpenRouterで触れるようになりましたね。Inceptionの新しい拡散型LLMで、100万トークンのコンテキストに1000+ tok/sという発表値がまず目に入ります。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
単に「速いモデルが出た」という話じゃないんですよ。拡散型がコンテキストを一気に1Mまで広げてきたことに意味があって、そこは講座でも整理して話したいポイントです。

Mercury 3とは?Inceptionが発表した拡散型LLMの正体

Mercuryシリーズの系譜
  • Mercury
    初のdLLM
    128Kコンテキスト
  • Mercury 2
    128Kコンテキスト
    >1,000 tok/s
  • Mercury 2.5
    260Kコンテキスト
    1,107 tok/s、コスト最適化型フロンティアモデルと同等品質
  • Mercury 3
    1.0Mコンテキスト
    1000+ tok/s
室谷室谷代表取締役
まず基本情報から。Mercury 3はInceptionが発表した拡散型LLMで、同社のモデルの中では最も能力が高いとされています。

OpenRouterのページでは公開日が2026年10月16日、コンテキストが1.0Mと記載されています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
拡散型LLM、つまりdLLMの仕組みを押さえておきましょう。通常のLLMはトークンを左から1つずつ順番に生成する自己回帰型です。

これに対して拡散モデルは複数のトークンを並列に生成し、少ないステップで推論と洗練を繰り返します。Inceptionはこれを「タイプライターではなく、下書き全体を一度に推敲する編集者」と説明しているんですよね。
室谷室谷代表取締役
そこが速度の源泉なんですよね。公式ページでも「トークンを並列に生成し、少数のステップで収束させる」と説明されていて、初代Mercuryから続く系譜の最新版という位置づけです。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
系譜を整理するとこうです。
  • Mercury(初のdLLM、128Kコンテキスト)
  • Mercury 2(128K、>1,000 tok/s)
  • Mercury 2.5(260K、1,107 tok/s、コスト最適化型フロンティアモデルと同等品質)
  • Mercury 3(1.0M、1000+ tok/s)
室谷室谷代表取締役
従来はコンテキストが最大260Kだったのが、一気に1Mになったのが大きいですよね。Inceptionの説明では、初代Mercuryより40倍以上大型化しながら同じ水準のスループットを維持しているとされています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
発表元の主張として、IFBench、GPQA Diamond、SWE-Bench AtlasでGPT-6 LunaやHaiku 5.5を上回るという記述がOpenRouterのスレッドにあります。ただしこれはあくまでInception側の報告値で、第三者検証ではない点は受講生さんにも必ず伝えるようにしています。
室谷室谷代表取締役
ここで一度、何が発表されたかを整理しておきましょう。InceptionがMercury 3を発表し、OpenRouterで利用可能になった、というのが今回のニュースの骨格です。

Mercury 3でできること――1Mコンテキストと1000+ tok/sが変えるエージェント開発

Mercury 3が変えるエージェント開発のポイント
1Mコンテキスト×高速生成
長い文脈を保持したまま、ループ内の呼び出しを高速に回せる
複利レイテンシへの効果
エージェントやRAGのループ構造では、レイテンシが全ステップで複利的に積み上がる
Augment Codeの実績
コンパクション処理の遅延を82%削減(約150秒→27秒)、コストを90%削減
構造化出力に強い
拡散型はスキーマ整合JSON出力や並列ツール呼び出しに向く
想定用途
検索エージェント、音声パイプライン、コーディング用サブエージェント
室谷室谷代表取締役
公式ページで想定用途として挙がっているのが、検索エージェント、音声パイプライン、コーディング用サブエージェントです。いずれもレイテンシが積み上がるワークロードなんですよね。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
単に「1回の応答が速い」という話じゃないんですよ。Inceptionのブログでは、本番AIがエージェントやRAGのループ構造になると、レイテンシが1回ではなく全ステップで複利的に積み上がることが課題として挙げられています。
室谷室谷代表取締役
なるほど。検索1回でも、クエリ書き換え、リランキング、要約、ファクトチェックと何十回もモデルを呼ぶわけですからね。

1回の遅れが全体で何倍にもなる。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
そこで1Mコンテキストと高速生成の組み合わせが効いてくるわけです。長い文脈を保持したまま、ループの中の呼び出しを高速に回せる。

MYUUUでもエージェント系の実装を試すときに、この手の速度は体感を大きく変えますよね。
室谷室谷代表取締役
実際、InceptionのブログではAugment Codeがコンパクション処理の遅延を82%削減(約150秒から27秒)、コストを90%削減したと証言しています。コンテキスト圧縮のような地味な処理ほど、速度の恩恵が効いてくるんですよね。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
あと見落としがちなのが、拡散型はスキーマに沿ったJSON出力や並列ツール呼び出しに向くという点です。Mercury 2.5の時点でチューナブル推論、並列ツール呼び出し、スキーマ整合JSONが挙げられていて、Mercury 3もエージェントワークフロー向けと明記されています。
室谷室谷代表取締役
構造化出力が安定するのは、エージェントを組む側としてはありがたいですよね。ツール呼び出しのたびにパースで失敗されると、リトライでレイテンシもコストも膨らみますから。

Mercury 3の使い方・始め方――OpenRouterで今すぐ試す手順

Mercury 3の利用ルート比較
OpenRouter経由
  • OpenRouterのページに「Try this model」とAPIの導線がある
  • モデルIDは inception/mercury-3
  • ルーティング設定は不要
  • 1プロバイダがホストし、OpenRouterは全リクエストを直接転送
  • EUのリージョン内ルーティングでは現在利用不可
Inception API直接利用
  • Inception Platformのアカウントを作成
  • API Keysで新しいAPIキーを発行(新規キーに1億トークンの無料枠)
  • 最初のリクエストを送る
  • OpenAI API互換(AISuite、LiteLLM、LangChainなどで利用可)
  • エンドポイント: https://api.inceptionlabs.ai/v1/chat/completions、modelに mercury-3 を指定
室谷室谷代表取締役
使い方は大きく2ルートあります。OpenRouter経由と、InceptionのAPI直接利用です。

OpenRouterのページには「Try this model」とAPIの導線があって、モデルIDは inception/mercury-3 です。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
Inception側の手順は公式ページに3ステップで書かれています。整理するとこうです。
  1. Inception Platformのアカウントを作成する
  2. API Keysで新しいAPIキーを発行する(新規キーには1億トークンの無料枠が付く)
  3. 最初のリクエストを送る。OpenAI API互換なので、AISuite、LiteLLM、LangChainなどのライブラリでそのまま使える
室谷室谷代表取締役
OpenAI互換というのは実務ではかなり大きいですよね。既存のコードのエンドポイントとモデル名を差し替えるだけで試せるので、移行コストが低い。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
エンドポイントは https://api.inceptionlabs.ai/v1/chat/completions で、modelに mercury-3 を指定する形です。OpenRouter経由ならルーティングの設定も不要で、OpenRouterのページ上では「このモデルは1プロバイダがホストしていて、OpenRouterは全リクエストを直接転送する」と説明されています。
室谷室谷代表取締役
なお、OpenRouterのページには「EUのリージョン内ルーティングでは現在利用できない」という注記もあります。日本からの利用可否については公式ページに地域制限の記載がないので、現時点では明らかにされていません。

まずは無料枠で試すのが現実的ですね。

Mercury 3の料金と提供範囲――50%オフの実額と日本からの利用可否

室谷室谷代表取締役
料金はローンチ時の50%オフで、入力$0.10、出力$0.35(いずれも100万トークンあたり)です。通常価格は入力$0.20、出力$0.70という表示になっています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
キャッシュ入力も設定されていて、50%オフで$0.01、通常$0.02です。OpenRouterの実効価格を見ると、加重平均で入力$0.08409、出力$0.3497、キャッシュヒット率17.4%という数字が出ています。
室谷室谷代表取締役
キャッシュが効くと実効単価はさらに下がるわけですね。エージェントのループで同じシステムプロンプトを何度も投げる用途とは相性が良さそうです。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
提供範囲も整理しておきましょう。InceptionはOpenAI API互換をうたい、AWS BedrockやAzure Foundry経由の提供、99.5%以上の稼働率のSLAにも言及しています。

OpenRouterのページには、Clineのようなオープンソースのコーディングエージェントがこのモデルにトラフィックを送っている例も載っていますね。
室谷室谷代表取締役
ちなみに旧モデルの扱いも発表されています。Mercury 2とMercury 2.5は新規ユーザーの受付を終了し、2026年10月19日より前に利用実績のある既存ユーザーは2026年11月15日まで使える、と。

エンタープライズ契約は契約に基づいて継続サポートされるということです。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
移行を検討しているチームは、この期限をスケジュールに入れておかないといけませんね。

発表値と実測値のギャップ――358 tok/s・稼働率78%をどう見るか

室谷室谷代表取締役
ここが今回いちばん面白いところなんですよね。OpenRouter上の実測はスループット358 tok/s、レイテンシ0.78秒(P50)、稼働率78.12%(24時間)となっています。

発表値の1000+ tok/sとはかなり開きがあります。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
単に「遅い」と決めつける話じゃないんですよ。まず測定条件の違いを押さえる必要があります。

Inceptionの公式ページでは1,068 tok/s、ブログではNVIDIAのGPU上での数値として語られていて、OpenRouterの358 tok/sはP50でプロバイダ間の最良値という括りです。
室谷室谷代表取締役
つまり、モデル単体の能力値と、実際にAPIとして叩いたときのスループットは別物だということですね。プロバイダ側の負荷やルーティングの影響も受けますし。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
稼働率78.12%という数字も同じで、これは過去24時間のOpenRouter上の可用性です。Inceptionは99.5%以上のSLAに言及していますが、それはエンタープライズ向けの契約上の話であって、OpenRouter経由の実測値とはレイヤーが違います。
室谷室谷代表取締役
ここは誤解されやすいので、記事としてもしっかり書いておきたいですね。発表値は「ポテンシャル」、実測値は「今この瞬間の体験値」。

プロダクションに組み込むなら、自分のワークロードで測るのが鉄則です。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
受講生さんにもいつも言っているんですが、ベンチマークの数字は条件を揃えて初めて意味を持ちます。358 tok/sでも、従来の自己回帰型と比べて体感がどう変わるかを自分のユースケースで確かめるのが大事です。
室谷室谷代表取締役
稼働率については、OpenRouterがエラー時に別プロバイダへルーティングして復旧する仕組みを持っている点も踏まえて見る必要があります。Mercury 3は現状1プロバイダのホストなので、その恩恵は限定的かもしれません。

Mercury 2系からの進化と狙い――なぜ拡散型がエージェント時代に刺さるのか

室谷室谷代表取締役
最後に、なぜ今このタイミングで拡散型なのかを考えたいんですよね。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
Inceptionのブログが一貫して言っているのは、本番AIがループ構造になったことでレイテンシが複利的に効くようになった、という点です。検索エージェント、音声、コーディングのサブエージェント。

どれも待ち時間が体験を壊す用途です。
室谷室谷代表取締役
自己回帰型のボトルネックは1トークンずつ左から順に生成すること。拡散型はそこを並列生成に置き換える。

速度曲線そのものが違うという主張なんですよね。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
さらにMercury 3ではコンテキストを260Kから1Mへ広げ、品質もコスト最適化型フロンティアモデルと同等以上と主張しています。速度を保ったまま知能と文脈長を両取りにきたのが今回の進化です。
室谷室谷代表取締役
拡散型はスキーマ遵守やセマンティックな制約の制御に向くという説明もあって、エージェント時代の構造化出力とは相性がいい。MYUUUでも、速度が効く処理と品質が効く処理を分けて考える設計はよくやりますが、その選択肢が増えるのはありがたいです。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
とはいえ、発表元の主張と実測値の差は冷静に見ておきたい。品質の比較もInception側の報告なので、導入判断は自社の評価セットで行うのが基本です。
室谷室谷代表取締役
そこは冷静に。まずは1億トークンの無料枠で触って、自分のユースケースで358 tok/sがどう体感されるか確かめる。

それが一番堅い進め方だと思います。

よくある質問

Q. Mercury 3とは何ですか?

A. Inceptionが2026年10月16日に公開した拡散型LLMです。100万トークンのコンテキストと1000+ tok/sの生成速度をうたい、エージェントワークフローやリアルタイム用途に向けたモデルとされています。

Q. Mercury 3の料金はいくらですか?

A. ローンチ時の50%オフで入力$0.10、出力$0.35(100万トークンあたり)です。通常価格は入力$0.20、出力$0.70と表示されています。キャッシュ入力は50%オフで$0.01です。

Q. Mercury 3のコンテキスト長はどれくらいですか?

A. 1.0M(100万)トークンです。前世代のMercury 2.5は260Kでした。

Q. Mercury 3はOpenRouterで使えますか?

A. はい。OpenRouterで公開されており、モデルIDは inception/mercury-3 です。InceptionのAPIからも直接利用できます。

Q. Mercury 3は日本から利用できますか?

A. 日本からの利用可否について公式ページに地域制限の記載はなく、現時点では明らかにされていません。OpenRouterのページにはEUのリージョン内ルーティングでは現在利用できない旨の注記があります。

Q. Mercury 3のベンチマークはどうですか?

A. Inceptionの報告として、IFBench、GPQA Diamond、SWE-Bench AtlasでGPT-6 LunaやHaiku 5.5を上回るとされています。ただし発表元の主張であり、第三者検証ではない点に留意が必要です。

Q. Mercury 3はツール呼び出しや構造化出力に対応していますか?

A. OpenRouterのページにツール呼び出しと構造化出力に関するFAQ項目が設けられています。Inceptionは拡散型の特性としてスキーマ整合JSON出力や並列ツール呼び出しを挙げています。

Q. Mercury 2や2.5はまだ使えますか?

A. Mercury 2とMercury 2.5は新規ユーザーの受付を終了しています。2026年10月19日より前に利用実績のある既存ユーザーは2026年11月15日まで利用可能で、エンタープライズ契約は契約に基づき継続サポートされます。

Related

関連記事

New Articles

新着記事

ニュース

AA-PersonalityBenchとは?Artificial Analysisが発表したAIの「性格」評価ベンチマーク

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ニュース

Runway MCPとは?Grok Bot対応でチャットから動画生成

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ニュース

Exa 3.0とは?Dynamic Highlightsが検索API首位タイ、コスト21%減

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ガイド

Geminiの解約はどこから?PC・iPhone・Android別の手順と解約後に起きること

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ニュース

HeyGen Video 1.0とは?音声付き汎用動画モデルの料金と使い方

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ニュース

Cognitionの「Devin Efficiency Score」とは?AI利用効率を0〜100で採点

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ニュース

Metaの「Muse Wonder Full」とは?LMArena WebDevで6位に初登場

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ニュース

DeepSeek V4.1-Flash-1017とは?Unslothが1-bit量子化で128GBローカル実行に対応

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ニュース

Microsoftの「MAI-Transcribe-2」とは?21言語中18言語で最低エラー率の音声認識モデル

2026年10月20日
室谷テキトー教師
ニュース

GPT-Image-2.5 Sunburstとは?LMArenaで14日間限定公開のOpenAI画像モデル

2026年10月20日
室谷テキトー教師

Join

AIプレナーになる。

入会は審査制です。いまの事業と、AIで何を動かしたいのかを聞かせてください。

参加を申請する