MAI-Transcribe-2(エムエーアイ・トランスクライブ・ツー)は、Microsoft AIが内製した次世代の音声認識モデルで、自然な即興会話を21言語で評価する新ベンチマーク「DAI-ASR-I18N」において転写精度1位を獲得したとMicrosoftが発表しました。21言語のうち18言語で最低エラー率を記録しています。
室谷代表取締役Microsoftの音声認識モデル「MAI-Transcribe-2」が、新しいベンチマークで首位を取ったという発表なんですよね。これは単なる順位の話ではなくて、評価の土俵そのものが変わってきた話でもあるんですよ。
テキトー教師DotAI 認定講師そうなんですよ。今回のポイントは「21言語中18言語で最低エラー率」という数字そのものより、そのベンチマークが何を測っているか、なんですよね。
そこを丁寧に分解していきましょう。
そこを丁寧に分解していきましょう。
MAI-Transcribe-2とは?何が発表されたのか
まとめ
MAI-Transcribe-2の発表内容
- Microsoft AIチームが内製した次世代の音声認識モデル
- 新ベンチマーク「DAI-ASR-I18N」で転写精度1位を獲得
- ベンチマークは14システムを対象に、自然な即興会話の音声認識と話者分離(誰が話したか)まで評価
- 従来の朗読音声中心のベンチマークと異なり、自然会話で測定するのが特徴
- 21言語中18言語で最低エラー率と主張(多言語で満遍なく強い)
- 系譜: MAI-Transcribe-1(2026年8月20日非推奨化)→1.5→2
- Azure SpeechのFast Transcription APIのenhancedModeでMAI-Transcribe-2を指定して利用
- モデル名指定のみで切り替え可能で、既存Speech基盤からの移行コストは比較的低い
室谷代表取締役まず基本情報から整理したいんですけど、MAI-Transcribe-2はMicrosoft AIチームが内製した次世代の音声認識モデルです。今回Microsoftが発表したのは、David AIが公開した新ベンチマーク「DAI-ASR-I18N」で転写精度1位を獲得した、という内容なんですよね。
テキトー教師DotAI 認定講師はい。このベンチマークは14システムを対象にしていて、自然な即興会話における音声認識と話者分離、つまり「誰が話したか」の識別まで評価するものなんですよ。
ここが従来のベンチマークと決定的に違うところで。
ここが従来のベンチマークと決定的に違うところで。
室谷代表取締役従来のベンチマークって、朗読音声みたいに整った環境が中心だったんですよね。実際の会議や通話って、雑音もあれば言い直しも相槌もあるわけで。
そこで「自然会話で測る」という発想になったのが今回の肝だと。
そこで「自然会話で測る」という発想になったのが今回の肝だと。
テキトー教師DotAI 認定講師そうなんです。しかもMicrosoftは「21言語中18言語で最低エラー率」という言い方をしていて、1言語だけ突出したという話ではないんですよ。
多言語で満遍なく強い、という主張の立て方になっています。
多言語で満遍なく強い、という主張の立て方になっています。
室谷代表取締役ちなみにこのモデルの系譜としては、MAI-Transcribe-1が2026年8月20日に非推奨化されていて、1.5を経て2が登場したという流れなんですよね。Azure SpeechのFast Transcription APIのenhancedModeで
MAI-Transcribe-2を指定して使う形になっています。
テキトー教師DotAI 認定講師そこは実務者にとって大事なポイントで、モデル名を指定するだけで切り替えられる設計になっているわけです。既存のSpeech基盤を使っているなら移行コストは比較的低い、と。
MAI-Transcribe-2は何がすごい?21言語中18言語で最低エラー率の意味
まとめ
「21言語中18言語で最低エラー率」の読み方
- 21言語のテストセットのうち18言語で、14システム中もっともエラー率が低かった
- ベンチマークの順位は「そのテストセットにおける順位」であり、あらゆる現場で必ず最良という意味ではない
- 複数言語で同時に最下位エラー率を出すのは簡単ではなく、多言語を均等に鍛えていることがうかがえる
- 評価対象に「話者分離」が含まれる点が実務感覚に合っている(議事録では誰の発言かが重要)
- 18言語という数字はMicrosoftの発表ベース。DAI-ASR-I18Nの詳細スコア表の公開範囲は資料からは読み切れない
室谷代表取締役「18言語で最低エラー率」という数字をどう読むか、なんですけど。これは要するに、21言語のテストセットのうち18言語で、14システムの中で最もエラー率が低かったということなんですよね。
テキトー教師DotAI 認定講師はい。ここで注意したいのは、ベンチマークの順位は「そのテストセットにおける順位」であって、あらゆる現場で必ず最良という意味ではないということです。
ただ、複数言語で同時に最下位エラー率を出すのは簡単ではないので、モデルの作り方として多言語を均等に鍛えていることがうかがえます。
ただ、複数言語で同時に最下位エラー率を出すのは簡単ではないので、モデルの作り方として多言語を均等に鍛えていることがうかがえます。
室谷代表取締役あと、このベンチマークが「話者分離」まで評価対象にしているのが面白いところで。文字起こしだけできても、会議の議事録としては「誰の発言か」が分からないと使い物にならないじゃないですか。
MYUUUでも議事録系の相談は多いので、そこが評価軸に入ってくるのは実務感覚に合っているなと。
MYUUUでも議事録系の相談は多いので、そこが評価軸に入ってくるのは実務感覚に合っているなと。
テキトー教師DotAI 認定講師講座でも受講生さんから「文字起こしはできるけど、誰が話したかの整理が大変」という声をよく聞くんですよ。だから話者分離が標準の評価項目になる流れは、現場の痛みに直結していると思います。
室谷代表取締役ただ、現時点でDAI-ASR-I18Nの詳細なスコア表がどこまで公開されているかは、今回の資料からは読み切れないんですよね。18言語という数字はMicrosoftの発表ベースなので、そこは前提として押さえておきたいところです。
MAI-Transcribe-2でできること――話者分離・騒音耐性・コードスイッチング対応
MAI-Transcribe-2の主な機能
話者分離(diarization)
録音を話者ごとに区切り、各セグメントを正しい話者に紐付け。speaker・offsetMilliseconds・durationMillisecondsのメタデータ付きで返る
単語単位タイムスタンプ
timestampsにwordを指定すると全単語にオフセットと長さが付き、正確なアライメントや検索、編集に使える
キーワードバイアス
phraseList.phrasesに専門用語や製品名、固有名詞を渡して認識を寄せられる(強制ではなくヒント)
転写スタイル
verbatimはフィラーや言い直しも含めてそのまま、cleanはフィラーを除去して読みやすく整形
コードスイッチング
HinglishやSpanglishのように発話の途中で言語が切り替わる会話に対応
騒音耐性
背景雑音、重なり合う発話、マイク品質のばらつきがある環境でも品質を維持
室谷代表取締役ここからは機能の中身なんですけど、公式ドキュメントを見るとかなり実務向けに作り込まれているんですよ。整理するとこうです。
- 話者分離(diarization): 録音を話者ごとに区切り、各セグメントを正しい話者に紐付け。speaker、offsetMilliseconds、durationMillisecondsのメタデータ付きで返る
- 単語単位タイムスタンプ:
timestampsにwordを指定すると全単語にオフセットと長さが付き、正確なアライメントや検索、編集に使える - キーワードバイアス:
phraseList.phrasesに専門用語や製品名、固有名詞を渡して認識を寄せられる(強制ではなくヒント) - 転写スタイル:
verbatimはフィラーや言い直しも含めてそのまま、cleanはフィラーを除去して読みやすく整形 - コードスイッチング: HinglishやSpanglishのように発話の途中で言語が切り替わる会話に対応
- 騒音耐性: 背景雑音、重なり合う発話、マイク品質のばらつきがある環境でも品質を維持
テキトー教師DotAI 認定講師これは単に「精度が高い」という話じゃないんですよ。たとえば
同じ音声でも出力の性格を変えられるわけです。
verbatimとcleanの切り替えは、監査やQA用途では原文保持が必要で、公開用の字幕では読みやすさが必要になる。同じ音声でも出力の性格を変えられるわけです。
室谷代表取締役そうそう。キーワードバイアスも地味に効くやつで、製品名とか社内用語って文脈だけでは判別しづらいんですよね。
そこにヒントを渡せるのは、現場で使う人にはありがたいはずです。
そこにヒントを渡せるのは、現場で使う人にはありがたいはずです。
テキトー教師DotAI 認定講師あとコードスイッチングは、多言語環境の現場では避けて通れない論点です。日本語と英語が混ざる会議なんかも、まさにこの系統の課題ですよね。
室谷代表取締役公式ドキュメントでは、対応するワークロードとしてビデオのキャプション、会議、臨床記録、コールセンターの文書化、アクセシビリティツール、コンテンツ制作、音声エージェントが挙げられています。用途ごとにパラメータを変えて最適化するイメージですね。
MAI-Transcribe-2の使い方・始め方――Azure FoundryとFast Transcription APIでの利用
室谷代表取締役使い方なんですけど、前提としてAzureサブスクリプションと、AzureポータルでSpeech用のMicrosoft Foundryリソースが必要になります。そのうえでSpeechリソースのキーとリージョンを用意する、という流れなんですよね。
テキトー教師DotAI 認定講師実際の呼び出しはFast Transcription APIの
enhancedModeを使う形で、enhancedMode.enabledをtrueにして、enhancedMode.modelにMAI-Transcribe-2を指定する。これが必須の設定なんですよ。
室谷代表取締役公式ドキュメントにcurlの例が載っていて、
speechtotext/transcriptions:transcribeのエンドポイントに対して、音声ファイルとdefinitionをmultipartで送る形になっています。api-versionは2025-10-15が例示されていますね。
テキトー教師DotAI 認定講師オプションの指定も整理しておくとこうです。
- 話者分離:
diarization.enabledをtrueに - 転写スタイル:
modelOptions.transcribeStyleにcleanまたはverbatim - 単語単位タイムスタンプ:
modelOptions.timestampsにword - キーワードバイアス:
phraseList.phrasesに文字列の配列 - 言語の固定:
localesに言語コードを1つだけ指定(自動検出がうまくいかない場合の強いヒント)
室谷代表取締役言語固定についての注意書きが公式にあって、「録音がその言語であると確信が持てて、自動検出が機能しない場合以外は指定しないでください」というトーンなんですよ。つまり基本は自動検出で回す設計だと。
テキトー教師DotAI 認定講師入力ファイルはWAV、MP3、FLACが対象で、最大ファイルサイズや音声長はRESTリファレンスのaudioパラメータを見てください、という案内になっています。話者分離を有効にする場合は録音長の注記も確認が必要です。
室谷代表取締役あと、Voice Live APIの入力音声の転写にもMAI-Transcribeモデルを使えると書かれていて、
input_audio_transcriptionのセッション設定でモデルを指定する形になっています。音声エージェント系を作っている人はここも押さえておきたいところですね。
テキトー教師DotAI 認定講師ちなみにMicrosoftのエージェント構築周りだと、Microsoft Copilot Studioとは?できること・料金・ログインからエージェント作成までで解説しているようなツール群と組み合わせる形になります。音声の入り口をMAI-Transcribe-2が担うイメージです。
料金と提供範囲――日本で使える?対応言語・リージョン・ストリーミングの状況
室谷代表取締役ここが一番聞かれるところなんですけど、料金表ではMAI Transcribe-2は「N/A」表記で、12/31/2026までの期間限定プロモーションの注記が付いているんですよね。具体的な価格は今回の資料には記載がないので、現時点では明らかにされていません。
テキトー教師DotAI 認定講師そこは誤解のないようにしたいところです。参考として同じ表には、Standard Transcriptionのリアルタイムが1時間あたり1ドル、Batch Transcriptionが1時間あたり0.18ドル、Custom Transcriptionのリアルタイムが1時間あたり1.20ドルといった価格が並んでいますが、MAI Transcribe-2の欄はN/Aです。
室谷代表取締役あと注記として「MAI-Transcribeを使う場合はStandard-Audioの料金が適用される」という記述もVoice Liveの欄にあります。ただ、これも整理しきれない部分があるので、実際の見積もりはAzureの料金計算ツールで確認するのが確実だと思います。
テキトー教師DotAI 認定講師日本での利用可否についても整理しておきましょう。対応言語は60言語で、言語リストには日本語(ja)がMAI-Transcribe-1.5とMAI-Transcribe-2の両方にチェックが入っています。
つまり日本語は対応言語に含まれている、と。
つまり日本語は対応言語に含まれている、と。
室谷代表取締役リージョンについては、まずストリーミング版のMAI-Transcribe-2-StreamingがSweden Central、Central US、East US 2、Southeast Asiaの4リージョンで提供されていて、グローバルにアクセスできてリクエストがこれらのリージョンにルーティングされるという説明になっています。
テキトー教師DotAI 認定講師バッチ側のMAI-Transcribe-2自体は「Speech service regions」のうち利用可能なリージョンで使う形で、公式ドキュメントでは現在の対応リージョン一覧を参照するように案内されています。日本East/Japan Westがその一覧に含まれるかは、今回の抜粋からは判断できないので、最新のリージョン一覧の確認が必要です。
室谷代表取締役ストリーミングはパブリックプレビューで、SLAなし・本番ワークロードには推奨しない、と明記されているんですよね。ここは導入判断で必ず押さえるべき点です。
リアルタイム性が欲しいならRealtime APIかAzure Speech SDK経由で、中間結果と最終結果の両方が返る形になります。
リアルタイム性が欲しいならRealtime APIかAzure Speech SDK経由で、中間結果と最終結果の両方が返る形になります。
テキトー教師DotAI 認定講師
室谷代表取締役ただ、プレビュー機能は仕様が変わり得るので、プロダクションに組み込むなら本番用のモデルとプレビュー用のモデルを分けておく。これは鉄板の設計だと思います。
DAI-ASR-I18Nベンチマークが示すもの――自然会話の評価軸が変わる意味
室谷代表取締役ここが一番話したいところなんですけど、DAI-ASR-I18Nって「21言語の自然会話で、14システムの音声認識と話者分離を評価する」というベンチマークなんですよ。つまり、きれいな朗読音声ではなく、即興の会話を測っている。
テキトー教師DotAI 認定講師単に精度競争な話じゃないんですよ。評価軸が変わると、モデルの設計思想も変わらざるを得ない。
雑音、言い直し、相槌、話者の重なり。そういう「現実の汚さ」を前提にしたモデルが上位に来るようになるわけです。
雑音、言い直し、相槌、話者の重なり。そういう「現実の汚さ」を前提にしたモデルが上位に来るようになるわけです。
室谷代表取締役従来のベンチマークだと、整った環境でどれだけ正確に文字にできるかが中心だったんですよね。でも実際の会議って、誰かが被せて話すし、マイクの品質もバラバラだし。
そこで「自然会話で測る」という物差しが出てきたのは、業界全体にとって意味があると思います。
そこで「自然会話で測る」という物差しが出てきたのは、業界全体にとって意味があると思います。
テキトー教師DotAI 認定講師教育の現場でも同じで、講座で扱う音声って受講生さんの実際の録音なんですよ。きれいなスタジオ音源じゃない。
だからこそ、この種のベンチマークが示す方向性は、現場のリアルと一致しているんですよね。
だからこそ、この種のベンチマークが示す方向性は、現場のリアルと一致しているんですよね。
室谷代表取締役あと、話者分離まで含めて評価するというのは、文字起こしを「テキスト化」ではなく「構造化」として捉え直す動きだと思うんですよ。誰が、いつ、何を言ったか。
そこまで取れて初めて議事録として使えるわけで。
そこまで取れて初めて議事録として使えるわけで。
テキトー教師DotAI 認定講師そう考えると、今回の発表は「Microsoftが1位を取った」というニュースであると同時に、「音声認識の評価が多言語の自然会話に移りつつある」という業界の潮目の話でもあるわけです。
室谷代表取締役そこは冷静に。1位は1位として素直に受け止めつつ、自社のユースケースで本当に効くかは別で検証する。
ベンチマークは出発点であってゴールじゃないですからね。
ベンチマークは出発点であってゴールじゃないですからね。
よくある質問
室谷代表取締役ここからは、よく聞かれる点を整理していきますね。
テキトー教師DotAI 認定講師まず性能面。「精度はどれくらいか」という質問ですが、今回の発表で言えるのは、DAI-ASR-I18Nで14システム中1位、21言語中18言語で最低エラー率という点です。
FLEURSなど他のベンチマークの順位については、今回の資料には記載がありません。
FLEURSなど他のベンチマークの順位については、今回の資料には記載がありません。
室谷代表取締役料金は「いくらか」という点ですが、料金表ではMAI Transcribe-2はN/A表記で、12/31/2026までの期間限定プロモーションの注記があります。具体的な価格は資料に記載がないので、現時点では明らかにされていません。
テキトー教師DotAI 認定講師処理速度・レイテンシについては、ストリーミング版のMAI-Transcribe-2-Streamingが低遅延のリアルタイム転写用として提供されている、というのが公式の説明です。具体的な数値のレイテンシは資料に記載がありません。
室谷代表取締役どこで使えるかについては、Azure SpeechのFast Transcription APIの
enhancedModeでMAI-Transcribe-2を指定する形と、Voice Live APIの入力音声転写、そしてストリーミング版はRealtime APIまたはAzure Speech SDK経由、という整理になります。
テキトー教師DotAI 認定講師日本語は対応言語に含まれています。リージョンは利用可能なSpeech service regionsの一覧を確認する必要があり、ストリーミングは4リージョン(Sweden Central、Central US、East US 2、Southeast Asia)で提供されています。
室谷代表取締役どんな用途に向くかは、公式が挙げているビデオキャプション、会議、臨床記録、コールセンター、アクセシビリティ、コンテンツ制作、音声エージェントあたりが参考になります。
テキトー教師DotAI 認定講師導入時の注意点としては、ストリーミングがパブリックプレビューでSLAなし・本番非推奨と明記されている点、そして料金が現時点で確認できない点の2つは必ず押さえておきたいですね。
室谷代表取締役既存のSpeech基盤からの移行を考えるなら、まずはREST APIで
enhancedModeを試して、verbatimとcleanのどちらが自社の用途に合うか、話者分離を入れるかを決める。そのうえでストリーミングが必要かを判断する、という順番が現実的だと思います。