室谷 代表取締役 DeepSeek V4.1 Flashは、DeepSeekが2026年9月10日に発表した新しいアーキテクチャファミリーの最小モデルで、ネイティブの視覚理解を備えた552BパラメータのMoEモデルなんですよね。同時期に、AI評価機関のArtificial Analysisがエージェント推論ハードウェアベンチマーク「AA-AgentPerf」へこのモデルの結果を追加していて、そっちの数字もかなり面白いんです。
テキトー教師 DotAI 認定講師 モデル単体の発表と、そのモデルをどう動かすかのハードウェア評価がセットで出てくる。単に「新しいモデルが出ました」という話じゃないんですよ。 エージェント時代のコスト構造がどう変わるか、という話に直結しています。
室谷 代表取締役 まず何が発表されたかを整理しましょうか。
DeepSeek V4.1 Flash 発表内容
位置づけ
新しいアーキテクチャファミリーの最小モデル
アーキテクチャ
新Causal Encoder–Decoder。入力で8B、出力で16Bのみ活性化
非対称な活性化
従来のMoEは入力も出力も同じ活性化数。V4.1 Flashは入力は軽く、出力は厚く配分
Engram n-gram memory
196Bパラメータ分のメモリをアクセラレータ上ではなくホストメモリに配置。GPUのHBMを圧迫しない
圧縮スパースアテンション
KVキャッシュは前世代のV4 Flash比でトークンあたり約4分の1。公式ページでは前世代比でHBMが1/4、SSDストレージが1/8
テキトー教師 DotAI 認定講師 公式の発表を整理するとこうです。
発表日: 2026年9月10日
位置づけ: 新しいアーキテクチャファミリーの最小モデル
パラメータ: 552BのMoE
アーキテクチャ: 新Causal Encoder–Decoder。入力で8B、出力で16Bのみ活性化
ネイティブの視覚理解(マルチモーダル対応)
APIのモデル名: deepseek-flash
室谷 代表取締役 552Bというバックボーンを持ちながら、実際に動くのは入力8B・出力16Bだけ、という非対称な設計なんですよね。だから「大きいのに軽い」という一見矛盾したことが起きる。
テキトー教師 DotAI 認定講師 ここが今回の一番のポイントです。従来のMoEは入力も出力も同じ活性化数だった。 V4.1 Flashは入力と出力で活性化するパラメータ数が違う。入力は軽く、出力は厚く、という配分なんですよ。
室谷 代表取締役 あと見逃せないのがEngram n-gram memoryです。196Bパラメータ分のメモリをアクセラレータ上ではなくホストメモリに置ける。 つまりGPUのHBMを圧迫しないんですね。
テキトー教師 DotAI 認定講師 さらに圧縮スパースアテンションで、KVキャッシュは前世代のV4 Flash比でトークンあたり約4分の1。公式ページでは前世代比でHBMが1/4、SSDストレージが1/8と説明されています。
室谷 代表取締役 KVキャッシュって、エージェント用途だと本当に効いてくるんですよ。同じリポジトリを何度も読むから、キャッシュが積み上がり続ける。 そこでキャッシュを圧縮できるのは、コストに直結します。
テキトー教師 DotAI 認定講師 受講生さんでも「なぜ同じコードを何度も読ませるだけでこんなに高いのか」と疑問に思う方が多いんですけど、まさにそこがキャッシュヒット課金の部分なんですよね。
室谷 代表取締役 DeepSeek自身が「キャッシュヒット課金はエージェントコストの大きな割合を占める」と説明しているので、そこを狙い撃ちした設計だと言えます。
DeepSeek V4.1 Flash vs V4 Pro 0813
Intelligence Index: 39 パラメータ: 552B(16B活性) コンテキスト長: 1M 最大出力: 384K ツール呼び出し・JSON出力・Responses API・Anthropic API・ビジョン対応 WorkBuddy/OpenCodeが完全サポート Intelligence Index: 36 パラメータ: 1.6T(49B活性) V4.1 Flashに性能で下回る 2026年9月14日04:00 UTCからV4.1 Flashへ段階的廃止・ルーティング
テキトー教師 DotAI 認定講師 性能面の数字を整理しましょう。Artificial Analysis Intelligence IndexでV4.1 Flashは39。 以前のV4 Pro 0813は36なので、上回っています。
室谷 代表取締役 しかもパラメータは約3分の1なんですよ。V4 Pro 0813が1.6Tで49B活性、V4.1 Flashが552Bで16B活性。 小さいのに賢い、という方向に振り切っている。
テキトー教師 DotAI 認定講師 公式ページでも「新しい事前学習手法と大規模なRLポストトレーニングにより、DeepSeek-V4-Proを含むフラッグシップモデルを上回るベンチマーク結果」と説明されています。
室谷 代表取締役 コンテキスト長は1M、最大出力は384K。ツール呼び出し、JSON出力、Responses API、Anthropic API、ビジョン対応。 ここまで揃っていると、コーディングエージェントのバックエンドとしてそのまま使えるんですよね。
テキトー教師 DotAI 認定講師 実際、公式パートナーのWorkBuddy(CodeBuddyを含む)とOpenCodeがV4.1 Flashを完全サポートしています。エージェントハーネス側が対応済みというのは大きいです。
室谷 代表取締役 あと、V4-FlashとV4-Flash-Vision-Expは廃止されていて、互換性のために旧名(deepseek-v4-flash、deepseek-v4-flash-vision-exp)を指定してもV4.1 Flashにルーティングされる。既存の実装を壊さない配慮ですね。
テキトー教師 DotAI 認定講師 さらにV4-Proも段階的に廃止で、2026年9月14日04:00 UTCから、すべてのdeepseek-v4-proリクエストがV4.1 Flashの料金でV4.1 Flashにルーティングされます。V4.1-Proが出るまで、と説明されています。
室谷 代表取締役 これは運用側からすると大きい。モデル名を変えなくても、勝手に新しい安いモデルに乗り換わるわけですから。
テキトー教師 DotAI 認定講師 ただし、勝手に変わるということは、挙動の検証をしないまま本番が切り替わる可能性もある。ここは注意点として講座でも伝えたいところです。
DeepSeek V4.1 Flash 料金・制限の整理
項目 オフピーク ピーク 入力(キャッシュヒット) $0.003 $0.006 入力(キャッシュミス) $0.15 $0.30 出力 $0.60 $1.20
室谷 代表取締役 使い方はシンプルで、APIのモデル名をdeepseek-flashに設定するだけです。ベースURLはOpenAI形式が[https://api.deepseek.com、Anthropic形式がhttps://api.deepseek.com/anthropic。 ](https://api.deepseek.com%E3%80%81Anthropic%E5%BD%A2%E5%BC%8F%E3%81%8Chttps://api.deepseek.com/anthropic%E3%80%82)
テキトー教師 DotAI 認定講師 料金を整理するとこうです。100万トークンあたりの単価で、オフピークとピークで2倍の差があります。
項目 オフピーク ピーク 入力(キャッシュヒット) $0.003 $0.006 入力(キャッシュミス) $0.15 $0.30 出力 $0.60 $1.20
室谷 代表取締役 キャッシュヒットの0.003ドルという数字がとにかく異常なんですよ。エージェントが同じプレフィックスを何度も読む前提だと、ここが効いてくる。
テキトー教師 DotAI 認定講師 ピーク時間は月曜から金曜の01:00–04:00 UTCと06:00–10:00 UTCで、中国の祝日を除く。それ以外は全部オフピーク、週末と中国の祝日は終日オフピークです。
室谷 代表取締役 つまり、スケジュール可能なバッチ処理はオフピークに寄せるだけで単価が半分になる。エージェントの仕事は全部リアルタイムである必要はないので、ここは設計次第で効いてきます。
テキトー教師 DotAI 認定講師 同時実行数の制限も見ておきましょう。deepseek-flashは2500、deepseek-v4-proは500。 5倍になっています。
室谷 代表取締役 これは「同じGPUでより多くのエージェントを捌ける」という設計がそのまま上限に反映されている数字ですよね。
テキトー教師 DotAI 認定講師 なお、思考モードは非思考と思考(デフォルト)の両方をサポート。FIM補完は非思考モードのみです。
室谷 代表取締役 オープンソース側の展開も書かれていて、Hugging Faceでモデルとテクニカルレポートが公開されています。2000GPU以上のストレージクラスタを伴う大規模デプロイを計画している場合は相談してほしい、という記述もあります。
テキトー教師 DotAI 認定講師 企業が自前でホスティングする場合の導線も用意されている、ということですね。
室谷 代表取締役 ここからがArtificial Analysis側の話です。AA-AgentPerfは、エージェント時代のためのハードウェアベンチマークなんですよね。
テキトー教師 DotAI 認定講師 従来のベンチマークとの違いを整理するとこうです。
実際のコーディングエージェントの軌跡を再生する(合成プロンプトではない)
入力は約5K〜131Kトークン、平均約27K
プロンプトキャッシュとツール呼び出しの遅延を含める
持続的な同時負荷をかけてKVキャッシュ再利用やスケジューラの挙動を試す
測定はアクセラレータの実測消費電力ベース(定格TDPではない)
室谷 代表取締役 ツール呼び出しの遅延が0.1秒未満から5秒、中央値が約1秒というのもリアルですよね。実際のエージェントは待ち時間があるので、その間GPUをどう使うかが効率に直結する。
テキトー教師 DotAI 認定講師 評価の単位も独特で、システム全体のスループットをメガワットあたりで測り、同時にエージェント1体あたりの出力速度を並行度ごとに測る。システムの稼働率と個々のユーザー体験のトレードオフが見えるわけです。
室谷 代表取締役 データセンター運用者からすると、まさに知りたいのはそこなんですよ。速いけど電気を食うのか、遅いけど効率がいいのか。
テキトー教師 DotAI 認定講師
室谷 代表取締役 あわせて、AA-AgentPerfは提出を受け付けていて、結果はローリングで公開される、と説明されています。ハードウェアベンダーが自分のシステムを評価に出せる仕組みですね。
テキトー教師 DotAI 認定講師 具体的な数字を見ていきましょう。毎秒100トークン/ユーザー時のスループット/MWはこうです。
NVIDIA GB300: 約261M tokens/s per MW(首位)
NVIDIA B300: 約220M
NVIDIA B200: 約193M
NVIDIA GB200: 約178M
AMD MI355X: 約128M
室谷 代表取締役 GB300が首位で261M。ここで面白いのは、V4.1 Flashが最小2GPUで動くので、ラック規模のシステムが8GPU単一ノードに対してそこまで優位にならないという点なんですよ。
テキトー教師 DotAI 認定講師 B300はラック規模のGB300 NVL72に対して曲線全体で約20%以内に収まり、両端ではリードする、と説明されています。
室谷 代表取締役 これはハードウェア選定の常識を変える話ですよね。モデルが軽ければ、わざわざラック規模を組まなくても8GPUノードで戦える。
テキトー教師 DotAI 認定講師 単一エージェントの出力速度も見ておきましょう。Blackwell系とMI355Xは約600〜670 tok/s、H100とH200は372〜392 tok/sです。
室谷 代表取締役 1エージェントあたりの速度で2倍近い差が出る。ユーザー体験としては体感が全然違います。
テキトー教師 DotAI 認定講師 ただし、これはバッチサイズ1のときの数字です。同時実行数を上げていくと、システム全体のスループットと個々の速度はトレードオフの関係になります。
室谷 代表取締役 だから「どのGPUが一番速いか」ではなく「自分のワークロードでどのSLOを狙うか」で選ぶべきなんですよね。100 tok/sを維持したいのか、20 tok/sで我慢して同時実行数を最大化するのか。
テキトー教師 DotAI 認定講師 実際、AA-AgentPerfのSLOは複数段階で定義されていて、ベンダーはそれぞれの段階ごとに同時実行数を最大化するよう狙う、と説明されています。
テキトー教師 DotAI 認定講師 最後に、V4 Pro 0813との比較を整理しましょう。
知能指数: V4.1 Flashが39、V4 Pro 0813が36
パラメータ: 552B(16B活性)対 1.6T(49B活性)
スループット/MW: 100 tok/s/ユーザー時に、V4 Pro 0813比でGB300は約1.3倍、B200は約6.2倍
室谷 代表取締役 より賢くて、より安くservingできる。普通は相反するんですけど、アーキテクチャを変えたことで両立しているんですよね。
テキトー教師 DotAI 認定講師 ここで効いているのが、重みがより少ないGPUに収まることと、KVキャッシュが小さくなってGPUあたりの同時エージェント数に余裕ができること。この2点です。
室谷 代表取締役 B200で6.2倍という数字は、既存のB200クラスタを持っている事業者にとってはかなりインパクトがあるはずです。同じハードで6倍捌けるなら、設備投資の回収の話が変わってくる。
テキトー教師 DotAI 認定講師 ただし、これはあくまでAA-AgentPerfの条件下での数字です。実際のワークロードではキャッシュヒット率も違いますし、出力長も推論トークン数も違う。
室谷 代表取締役 そうなんですよ。だから「キャッシュヒット率」と「タスク完了あたりのコスト」を測れ、というのが実務的な結論なんですよね。 プロンプトの総トークン数に単価を掛けても実態は見えない。
テキトー教師 DotAI 認定講師 これは講座でも繰り返し伝えているんですが、AIのコスト管理は「単価×トークン数」で終わらせると必ずズレます。
テキトー教師 DotAI 認定講師 AA-AgentPerfも「主要な新リリースについてはday-0の結果を掲載していく」と説明されているので、評価の側も追従していく前提です。
室谷 代表取締役 まとめると、V4.1 Flashは「賢さを上げながら提供コストを下げる」という方向に振り切ったモデルで、それを支えるハードウェア選定の基準がAA-AgentPerfで可視化され始めた、というのが今回の構図ですね。
テキトー教師 DotAI 認定講師 エージェントを本番運用している人ほど、モデルの発表そのものより、スループット/MWとキャッシュ課金のほうが効いてくる。そういう発表だと思います。
Q. DeepSeek V4.1 Flashのパラメータ数とアーキテクチャを教えてください。
A. 552BパラメータのMoEで、新Causal Encoder–Decoderアーキテクチャを採用しています。入力トークンあたり8B、出力トークンあたり16Bのみを活性化する非対称な設計です。さらに196Bパラメータ分のEngram n-gram memoryをアクセラレータではなくホストメモリに置けます。
Q. マルチモーダルには対応していますか?
A. はい。公式ページとAPIドキュメントで「native visual understanding」「native multimodal support」と説明されています。料金表でもVisionは対応(✓)と記載されています。
Q. APIの料金はいくらですか?
A. 100万トークンあたり、オフピークでキャッシュヒット入力0.003ドル、キャッシュミス入力0.15ドル、出力0.60ドルです。ピークはその2倍で、それぞれ0.006ドル、0.30ドル、1.20ドル。ピーク時間は月曜から金曜の01:00–04:00 UTCと06:00–10:00 UTC(中国の祝日を除く)で、それ以外はオフピークです。
Q. どうやって使い始めますか?
A. APIのモデル名をdeepseek-flashに設定します。ベースURLはOpenAI形式がhttps://api.deepseek.com、Anthropic形式がhttps://api.deepseek.com/anthropicです。コンテキスト長は1M、最大出力は384K。思考モードは非思考と思考(デフォルト)の両方をサポートします。
Q. 従来モデルはどうなりますか?
A. V4-FlashとV4-Flash-Vision-Expは廃止され、旧モデル名は互換性のためにV4.1 Flashへルーティングされます。V4-Proも段階的に廃止され、2026年9月14日04:00 UTCからすべてのdeepseek-v4-proリクエストがV4.1 Flashの料金でV4.1 Flashにルーティングされます(V4.1-Proの登場まで)。
Q. AA-AgentPerfでどのGPUが首位ですか?
A. 毎秒100トークン/ユーザー時に、NVIDIA GB300が約261M tokens/s per MWで首位です。以下、B300が約220M、B200が約193M、GB200が約178M、AMD MI355Xが約128Mと続きます。
Q. 安全性やアラインメントに関する懸念はありますか?
A. 今回の発表ソース(Artificial Analysisのスレッド、DeepSeekの公式ページ・APIドキュメント、AA-AgentPerfの方法論)には、安全性やアラインメントに関する具体的な指摘は含まれていません。現時点で明らかにされていない事項については、公式の続報を待つ必要があります。