2026年11月8日

Mistral AIの「Voxtral 3」とは?発話終了検出を備えた音声エージェント基盤

室谷室谷代表取締役
Voxtral 3(ヴォックストラル・スリー)は、Mistral AIが2026年10月20日に発表した音声モデル群で、音声認識・音声合成・音声エージェントSDKをひとつにまとめたものです。公式ブログでは「聞く・考える・話す・行動する」をリアルタイムのストリーミングパイプラインで統合すると説明されています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
単に文字起こしモデルが新しくなったという話じゃないんですよ。音声エージェントを構築するための開発キットまで含めて出てきたのがポイントで、講座でも「音声AIは認識・合成・対話制御を別々に考えると破綻しやすい」とよく話しています。

Voxtral 3とは?Mistral AIが発表した音声モデル群の全体像

Voxtral 3ファミリーの全体像
Voxtral Small Transcribe 3
多言語の文字起こしでSOTAをうたう主力モデル
Voxtral Mini Transcribe 3
4Bパラメータで高速・低コストな文字起こしモデル
Voxtral Realtime Transcribe 3
35言語以上に対応し、500ms未満の遅延を実現するリアルタイム認識
Voxtral Mini TTS 3
35以上の言語と50以上の方言に対応。感情・ペース・強調を文脈に合わせて調整
音声エージェントSDK
各モデルを束ねるSDK。文字起こしは話者分離・コンテキストバイアス・発話終了検出を搭載
データ主権への配慮
EUホストのAPIか自社インフラへのセルフデプロイを選択可能
室谷室谷代表取締役
まず全体像を整理したいんですけど、Voxtral 3ファミリーは大きく3つに分かれます。音声認識の「Voxtral Small Transcribe 3」と「Voxtral Mini Transcribe 3」、リアルタイム認識の「Voxtral Realtime Transcribe 3」、音声合成の「Voxtral Mini TTS 3」、そしてこれらを束ねる音声エージェントSDKです。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
公式ページのハイライトを見ると、文字起こしは50以上の言語に対応し、話者分離(誰がいつ話したか)やコンテキストバイアス、発話終了検出まで備えていると。TTSは35以上の言語と50以上の方言に対応し、感情・ペース・強調を会話の文脈に合わせて調整できる。

まさに「音声エージェントのためのフルスタック」という構成ですね。
室谷室谷代表取締役
しかもMistralらしいのが、EUホストのAPIか自社インフラへのセルフデプロイを選べる点です。音声データをどこで処理するか、保持するかどうかを組織がコントロールできる。

データ主権を重視する企業には刺さる話なんですよね。MYUUUでも、音声データの扱いはクライアントとの契約で必ず論点になりますから。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
モデルの役割分担も明確です。Voxtral Small Transcribe 3は多言語の文字起こしでSOTAをうたう主力、Voxtral Mini Transcribe 3は4Bパラメータで高速・低コスト、Realtime Transcribe 3は35言語以上で500ms未満の遅延を実現するエージェント向け、という位置づけです。
室谷室谷代表取締役
このあたりのモデル構成の詳細は、Mistral AIの「Voxtral 3」とは?音声エージェント基盤の中身でも整理しているので、あわせて読むと全体像がつかめると思います。

Voxtral 3の目玉「end-of-turn detection」は何を解決するのか

end-of-turn detection の5つの設定パラメータと調整トレードオフ
パラメータ既定値役割値を上げる/下げると
start_threshold0.5発話開始の閾値—
eager_end_threshold0.5終了候補の閾値—
end_threshold0.33終了確定の閾値下げる→遮断減・応答遅
min_silence_ms500ms最小無音時間上げる→早すぎる終了減・返答遅
end_timeout_ms3000ms最大待機時間—
室谷室谷代表取締役
今回の発表でMistralが最も強調しているのが「end-of-turn detection(発話終了検出)」です。公式Xの投稿でも「文字起こしはできても、話し終わりを知るのは別問題」と書かれています。

これ、音声エージェントを作ったことがある人なら全員うなずくやつですよね。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
ええ、単に無音時間で切ると、ユーザーが考え中の「えーっと」の間で遮断してしまったり、逆に応答が遅れて会話がぎこちなくなったりする。Mistralは音響情報と言語的な意味の両方を使って発話終了を予測すると説明しています。
室谷室谷代表取締役
ドキュメントを見ると、設定項目がかなり細かく公開されています。発話開始の閾値(start_threshold、既定0.5)、終了候補の閾値(eager_end_threshold、既定0.5)、終了確定の閾値(end_threshold、既定0.33)、最小無音時間(min_silence_ms、既定500ms)、最大待機時間(end_timeout_ms、既定3000ms)の5つです。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
ここが実務的にすごく大事なんですよ。たとえばend_thresholdを下げれば遮断は減るが応答は遅くなる、min_silence_msを上げれば早すぎる終了は減るが返答が遅くなる。

トレードオフをパラメータで調整できるわけです。講座でも「音声エージェントの品質は、この間合いの設計で決まる」と伝えています。
室谷室谷代表取締役
公式ブログでは「ユーザーが途中で止まった場合の誤遮断(false cut-off)を抑えつつ低遅延で応答したい」という課題が挙げられています。コールセンターやバーチャルアシスタントでは、この間合いが体験を左右しますからね。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
ちなみにturn_detectionを設定するにはVoxtral 3のリアルタイムモデルが必要で、他のモデルだと422エラーが返るとドキュメントに明記されています。ここは実装時の注意点ですね。

Voxtral 3でできること——音声認識・音声合成・音声エージェントSDK

Voxtral 3でできること
文字起こし(話者分離・コンテキストバイアス)
話者分離に対応。専門用語や固有名詞を事前に与えて認識精度を上げるコンテキストバイアスにより、ファインチューニングなしでドメイン固有語彙に対応
Voxtral Small Transcribe 3の実績
英語・フランス語・スペイン語を含む多言語文字起こしと話者分離でSOTAを達成し、Whisper、Scribe v2、Gemini 3.5 Transcribeを上回ると主張。FLEURS 45、話者分離のcpWER、Earnings 22のキーフレーズ再現率などで評価
音声合成(Voxtral Mini TTS 3)
バッチとリアルタイムの両方で提供。35以上の言語と50以上の方言でSOTAの表現力とインストラクションフォローをうたう
声のクローニング・音声制御
30分以上の音声サンプルからクローニング。カスタムプロンプトによる感情・ペース・強調の指示、文脈に応じたTTS、語彙ライブラリ
Pro Voice(プロ向け声の適応)
基本のクローニングでは不十分な業務向けに、30分の音声から話者の特徴的な話し方や感情の幅、話し方を再現
音声エージェントSDK
聞く・考える・ツール呼び出し・話すをリアルタイムのパイプラインに統合。通話やWeb会話中に情報を取得し、業務システムと連携してタスクを完了。デモではフランス語の紹介状を読み取り、予約ツールを呼び出して英語で案内
室谷室谷代表取締役
できることを整理すると、まず文字起こし側は話者分離とコンテキストバイアスに対応しています。コンテキストバイアスは、専門用語や固有名詞を事前に与えて認識精度を上げる機能で、ファインチューニングなしでドメイン固有語彙に対応できるとされています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
公式ページでは、Voxtral Small Transcribe 3が英語・フランス語・スペイン語を含む多言語文字起こしと話者分離でSOTAを達成し、Whisper、Scribe v2、Gemini 3.5 Transcribeを上回ると主張しています。ベンチマークはFLEURS 45や話者分離のcpWER、Earnings 22のキーフレーズ再現率などで示されていますね。
室谷室谷代表取締役
TTS側は、Voxtral Mini TTS 3がバッチとリアルタイムの両方で提供され、35以上の言語と50以上の方言でSOTAの表現力とインストラクションフォローをうたっています。声のクローニングは30分以上の音声サンプルから、カスタムプロンプトによる感情・ペース・強調の指示、文脈に応じたTTS、語彙ライブラリといった機能が挙げられています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
さらにプロ向けには「Pro Voice」という声の適応機能も用意されています。基本的な声のクローニングでは不十分な業務向けに、30分の音声から話者の特徴的な話し方や感情の幅、話し方を再現できると。
室谷室谷代表取締役
そして音声エージェントSDKが、聞く・考える・ツール呼び出し・話すをリアルタイムのパイプラインに統合します。エージェントは通話やWeb上での会話中に情報を取得し、業務システムと連携してタスクを完了できる。

公式ページのデモでは、フランス語の紹介状を読み取り、予約ツールを呼び出して英語で案内する流れが示されています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
ツール連携が会話に埋め込まれているのがポイントです。単なる音声チャットボットではなく、実際の業務プロセスを音声で動かすイメージですね。

Voxtral 3の使い方・始め方——APIとセルフホストの提供形態

室谷室谷代表取締役
提供形態は2つです。MistralのEUホストAPIを使うか、自社インフラにセルフデプロイするか。

セルフデプロイの場合も、音声を保持するかどうかをコントロールできると説明されています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
開発者向けには、Mistralのクライアントからclient.audio.sessions.init()を呼び出して音声セッションを開始する形です。エージェント設定は毎回渡すことも、保存済みエージェントとしてagent_idで呼び出すこともできます。
室谷室谷代表取締役
設定項目には、応答を生成するLLM(既定はmistral-small-latest)、STTモデルと言語・context_bias・target_streaming_delay_ms(80〜1200、既定240)、TTSモデルとvoice_id、システムプロンプトのinstructions、ツール、welcome_message、割り込み許可などのturn設定があります。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
ブラウザの場合はinit()ではなく、サーバー側でclient.audio.sessions.create()を呼ぶ点も押さえておきたいですね。セッション単位の設定としてagent_idやaudio_interface、HTTPヘッダーなどがあります。
室谷室谷代表取締役
音声合成の声もかなり豊富です。Voxtral TTS 3の声として、英語(US/UK)のSheilaやMargaret、Rob、James、フランス語のMarieやManon、日本語のHaruto(voice_3133)、中国語のMei、韓国語のSungなどが公開されています。

日本語の声が用意されているのは、日本からの利用を考えるうえで現実的なポイントです。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
発音の制御もできます。phoneme_hintsで単語ごとにIPA音素を指定できるんですが、対応するのは英語の音素のみで、それ以外はセッション作成時に拒否されるとドキュメントに書かれています。

日本語の固有名詞を英語音素でどう扱うかは、実装時の検討事項になりそうです。

Voxtral 3の料金と対応言語・日本からの利用は可能か

室谷室谷代表取締役
料金は公式のAPI価格ページに記載があります。Voxtral Mini Transcribe 3が毎分0.0035ドル、Voxtral Mini Transcribe Realtime 3が毎分0.008ドル、Voxtral Small Transcribe 3が毎分0.004ドル、Voxtral TTS 3が100万文字あたり13ドルです。

キャッシュ入力はそれぞれ10分の1の価格になっています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
音声エージェントAPIは会話1分あたりの課金で、Mistral Small 4を使う場合は毎分0.04ドル、より大きなモデルを使う場合は毎分0.08ドルです。整理するとこうです。
項目料金
Voxtral Mini Transcribe 3$0.0035/分
Voxtral Mini Transcribe Realtime 3$0.008/分
Voxtral Small Transcribe 3$0.004/分
Voxtral TTS 3$13/100万文字
音声エージェントAPI(Mistral Small 4)$0.04/分
音声エージェントAPI(大規模モデル)$0.08/分
室谷室谷代表取締役
対応言語は、文字起こしが50以上の言語で、24のEU公用語に加えてアジアやインドの低リソース言語も含まれます。リアルタイム認識は35言語以上で500ms未満の遅延をうたっています。

TTSは35以上の言語と50以上の方言です。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
日本からの利用可否について、公式ページには地域制限の記載は見当たりません。EUホストAPIかセルフデプロイという提供形態で、料金はUSD建てで表示されています。

現時点では、日本からの利用を明示的に制限する記述は確認できていません。
室谷室谷代表取締役
なお、Mistralの料金ページにはFree/Pro/Team/EnterpriseといったVibe向けのプランも載っていますが、Voxtral 3のAPI利用は従量課金のAPI価格に基づく形です。音声モデルは分単位・文字単位の課金で、トークン単位とは異なるのでコスト計算は注意が必要ですね。

音声エージェントの応答品質を変える設定項目とユースケース

室谷室谷代表取締役
実装目線で面白いのが、ターン設定のturnです。allow_interruptionsでユーザーがエージェントの発話中に割り込めるかを制御でき、既定はTrue。

inactivityでは、ユーザーが黙ったままのときにエージェントが話すリマインダーを設定できます。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
inactivityの既定は、10秒の無音で最初のリマインダー、最大2回まで「Are you still there?」と話す。これ、コールセンターの自動応答ではかなり実用的な設定ですよね。
室谷室谷代表取締役
あとはtarget_streaming_delay_msでストリーミングの遅延を80〜1200msの範囲で調整できます。既定は240msです。

低遅延を優先するか、安定性を優先するかの調整弁になります。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
ユースケースとしては、公式ページにコンタクトセンター、サービスデスク、バーチャルアシスタント、ハンズフリーのコパイロットが挙げられています。音声で業務システムを操作する多段階のタスクに向いていると。
室谷室谷代表取締役
MYUUUでも音声を使ったエージェントの相談は増えていますが、実際に壁になるのは「認識精度」より「会話の間合い」なんですよね。そこにend-of-turn detectionのパラメータが公開されているのは、実装者としてはありがたい限りです。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
講座でも、音声エージェントのプロトタイプを作るときは、まずこの5つの閾値をいじって挙動の違いを見るところから始めると理解が早いと話しています。

よくある質問

室谷室谷代表取締役
最後に、よく聞かれそうな点を整理しておきます。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
まず「Voxtral 3とVoxtral Mini TTS 3の違いは?」ですが、Voxtral 3は音声モデル群全体の名称で、Voxtral Mini TTS 3はその中の音声合成モデルです。文字起こしにはVoxtral Small Transcribe 3やVoxtral Mini Transcribe 3、リアルタイムにはVoxtral Realtime Transcribe 3があります。
室谷室谷代表取締役
「日本から使える?」については、公式ページに地域制限の記載はなく、EUホストAPIまたはセルフデプロイで提供されます。日本語の声(Haruto)もTTS 3の声として用意されています。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
「無料で試せる?」については、公式の発表資料に無料枠の記載は確認できていません。料金はAPIの従量課金が基本です。
室谷室谷代表取締役
「音声エージェントSDKは何と連携できる?」については、公式ページではツール呼び出しによる業務システム連携が説明されています。特定の外部サービスとの連携名は、今回の資料では明記されていません。
テキトー教師テキトー教師DotAI 認定講師
「発話終了検出はどのモデルで使える?」については、ドキュメントにVoxtral 3のリアルタイムモデルが必要と明記されています。他のモデルではturn_detectionを設定すると422エラーになります。
室谷室谷代表取締役
音声エージェントの実装は、モデル単体の性能だけでなく、こうした対話制御の設計が成果を左右します。Voxtral 3はその両方をひとつのファミリーで提供している点が、今回の発表の本質なんですよね。

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