FT紙が「Anthropicの2兆ドル評価は荒唐無稽ではない」と論じた理由
FTが示した「値段が付けられない」2つの側面
PROS / メリット
- 値段が付けられない巨大な機会:AIが世界を変えるかもしれないという可能性
CONS / デメリット
- 値段が付けられない巨大なリスク:AIが世界を壊すかもしれないという危険性
室谷代表取締役これ、まず何が起きたかから整理するとですね...米紙Financial Times(FT)が投資分析コラム「Lex in depth」で、Claude(クロード)を開発するAnthropicについて「2兆ドル評価は荒唐無稽ではない」と論じたんですよね。執筆はジョン・フォーリー記者で、ニューヨーク発。
公開からまだ数時間という、かなり速報性の高い論考です。
公開からまだ数時間という、かなり速報性の高い論考です。
テキトー教師DotAI 認定講師単に「AI企業の評価額が高い」って話じゃないんですよ。FTは資本市場の長い歴史を振り返って、深海採掘、量子コンピューター、火星コロニー、実験用サルの繁殖業者まで、投資家はこれまで奇妙な対象の値段を当ててきたと書いている。
そして今、新しい難題が「巨大AIラボの評価」だという位置づけなんです。
そして今、新しい難題が「巨大AIラボの評価」だという位置づけなんです。
室谷代表取締役そうそう。FTはこの評価を3つの考え方で解こうとしていて、さらに「値段が付けられない巨大なリスク」と「値段が付けられない巨大な機会」の2つを投資家は考えないといけない、と。
この対比が記事の骨格なんですよね。AIが世界を変えるかもしれないし、壊すかもしれない——その両方を抱えたまま株価を付けるという、前例のない作業なんです。
この対比が記事の骨格なんですよね。AIが世界を変えるかもしれないし、壊すかもしれない——その両方を抱えたまま株価を付けるという、前例のない作業なんです。
テキトー教師DotAI 認定講師ポイントは、FTが「2兆ドルは割高だ」とも「妥当だ」とも単純には決めていないことです。「荒唐無稽ではない(isn't far-fetched)」という言い回しは、裏を返せば、もっと高い可能性を示唆する投資家もいるという話にもつながります。
Anthropicとは何か——Claudeを開発するOpenAIのライバル企業
Anthropicの基本プロフィール
2021年設立
米国のAI企業として2021年に設立
創業者
OpenAIの元幹部だったダリオ・アモデイ氏らが設立
開発製品
対話型AI「Claude」を開発・提供。大規模言語モデル(LLM)を使用
LLMの役割
大量のテキストデータで学習し、文章生成・要約・コーディング支援などをこなす
安全性研究を重視
AIの安全性研究を重視する姿勢で知られる
出資元
AmazonやGoogleが出資
立ち位置
ChatGPTで知られるOpenAIの主要競合
室谷代表取締役ここで前提を押さえておくと、Anthropicは2021年に、OpenAIの元幹部だったダリオ・アモデイ氏らが設立した米AI企業なんですよ。対話型AI「Claude」を開発・提供していて、大規模言語モデル(LLM)を使っています。
LLMは大量のテキストデータで学習して、文章生成や要約、コーディング支援などをこなす技術ですね。
LLMは大量のテキストデータで学習して、文章生成や要約、コーディング支援などをこなす技術ですね。
テキトー教師DotAI 認定講師教育の現場でも、この「どのモデルを使うか」はすごく実務的な話になっていて、講座でも受講生さんが「ClaudeとChatGPTは何が違うんですか」とよく聞いてきます。背景ブリーフによれば、AnthropicはAIの安全性研究を重視する姿勢で知られていて、AmazonやGoogleが出資している。
ChatGPTで知られるOpenAIの主要競合、という立ち位置です。
ChatGPTで知られるOpenAIの主要競合、という立ち位置です。
室谷代表取締役ちなみにFTの記事には、Anthropicが「2023年まで1ドルの売上も立てていなかった」と書かれているんですよね。そこから急成長して、8月時点で年換算約650億ドル規模を稼いでいた、という記述まで出てくる。
ただしFT自身が「こうした非公式の数字は慎重に扱うべきだ」とクギを刺しているので、そこは僕らも正確に伝えないといけません。
ただしFT自身が「こうした非公式の数字は慎重に扱うべきだ」とクギを刺しているので、そこは僕らも正確に伝えないといけません。
テキトー教師DotAI 認定講師競合であるOpenAIの側も進化が速いんですよ。たとえばChatGPTの記憶まわりは大きく変わっていて、ChatGPT長期記憶のすべてでも整理しています。
モデルの性能競争と、その裏側の企業価値競争が同時に動いているのが今の状況なんです。
モデルの性能競争と、その裏側の企業価値競争が同時に動いているのが今の状況なんです。
IPOでAnthropicに何が変わる?2兆ドル上場の意味と見通し
IPOでAnthropicに何が変わる?(最大2兆ドル規模の評価)
PROS / メリット
- 資金調達力が増す
- 知名度が増す
- 時価総額2兆ドルはアルファベットなどと同規模の世界トップ級に相当
CONS / デメリット
- 四半期ごとの業績開示が必要になる
- 株主への説明責任が生じる
- 非上場のまま巨額調達で走ってきた企業が公開市場の洗礼を受けるフェーズに入る
室谷代表取締役で、今回の核心がIPOですね。FTは、Anthropicが今月、最大2兆ドル規模の評価につながるIPO(新規株式公開)を申請する構えだった、と書いています。
IPOというのは、非上場企業が証券取引所に上場して、一般の投資家が株を売買できるようにすることです。
IPOというのは、非上場企業が証券取引所に上場して、一般の投資家が株を売買できるようにすることです。
テキトー教師DotAI 認定講師2兆ドルという時価総額がどれくらいかというと、FTや背景情報では「アルファベットなどと同規模の、世界トップ級」に相当するとされます。つまり一介のスタートアップではなく、超大型企業の仲間入りをする数字だということです。
室谷代表取締役上場すると何が変わるか。背景ブリーフによれば、資金調達力や知名度が増す一方で、四半期ごとの業績開示や、株主への説明責任が生じるんですよね。
非上場のまま巨額調達で走ってきた企業が、公開市場の洗礼を受けるフェーズに入る、ということです。
非上場のまま巨額調達で走ってきた企業が、公開市場の洗礼を受けるフェーズに入る、ということです。
テキトー教師DotAI 認定講師ここで大事なのは、FTの記事は「Anthropicが今月IPOを申請する構えだった」と書いている一方で、その後にAIのリスク懸念が主流に飛び火して状況が変わった、という流れで書かれている点です。つまり上場が確定的に進んだ、という話ではない。
現時点で正確な申請日や上場時期、最終的な評価額が確定したとは、この情報だけでは言えません。
現時点で正確な申請日や上場時期、最終的な評価額が確定したとは、この情報だけでは言えません。
OpenAIはなぜ上場を先送りしたのか——サム・アルトマン氏の判断
室谷代表取締役対照的なのがOpenAIです。FTによれば、OpenAIも上場を計画していたけれど、創業者のサム・アルトマン氏がそれを来年まで先送りした、というんですよね。
もっと早く上場するのは「賢明ではない(ill-advised)」という判断だったと。
もっと早く上場するのは「賢明ではない(ill-advised)」という判断だったと。
テキトー教師DotAI 認定講師ここ、単に「ビビった」という話じゃないんですよ。背景ブリーフでは、OpenAIはMicrosoftの支援を受けつつ、営利構造への移行や上場を検討してきたと整理されています。
そのうえで、時期尚早として先送りする姿勢を示している、と。市場環境とリスクの見極めが背景にある、という読み方ができます。
そのうえで、時期尚早として先送りする姿勢を示している、と。市場環境とリスクの見極めが背景にある、という読み方ができます。
室谷代表取締役僕が面白いと思ったのは、ライバル2社の動きが正反対に見えるところで。Anthropicは上場申請に動き、OpenAIは待つ。
同じAIフロンティアでも、資本市場との距離の取り方が分かれている。これは投資家にとっては、どちらの判断が正解だったかが後から問われる話なんですよね...。
同じAIフロンティアでも、資本市場との距離の取り方が分かれている。これは投資家にとっては、どちらの判断が正解だったかが後から問われる話なんですよね...。
テキトー教師DotAI 認定講師ただ、繰り返しになりますが、OpenAIの上場が具体的にいつ、どの条件で行われるかは、この情報ソースでは明らかにされていません。「来年まで先送り」という表現以上の時期は、現時点で確定情報としては扱えません。
AI大手の企業価値はどう測るのか——従来の指標が効かないバリュエーションの難しさ
室谷代表取締役ここからがFTの本題で、僕が一番唸ったところです。従来の企業価値の測り方は、シンプルなんですよ。
1〜2年先の利益を予測して、利益がなければ売上を、上場している同業他社と似た倍率(マルチプル)に当てはめる。これが基本なんです。
1〜2年先の利益を予測して、利益がなければ売上を、上場している同業他社と似た倍率(マルチプル)に当てはめる。これが基本なんです。
テキトー教師DotAI 認定講師ところがAnthropicにはこれが効きにくい。第1の理由は、シリコンバレーの基準でも驚くほど変化が速いことです。
2021年設立で、2023年まで売上ゼロ。そこから急拡大している。
FTは、この成長はアモデイ氏自身にとっても驚きだったようだと書いています。
2021年設立で、2023年まで売上ゼロ。そこから急拡大している。
FTは、この成長はアモデイ氏自身にとっても驚きだったようだと書いています。
室谷代表取締役具体的な数字も出ていて、わずか18カ月前、Anthropicは2027年の売上をたった120億ドルと予想していた、と。それが今では、一部の投資家は来年末までに売上ランレート3200億ドルを予測している。
もちろん、そう予測する人たちは利害関係がある、とFTは冷静に注記しています。
もちろん、そう予測する人たちは利害関係がある、とFTは冷静に注記しています。
テキトー教師DotAI 認定講師そして、もしその予測が正しければ、2兆ドルという評価は2028年の売上のわずか7倍に過ぎなくなる、という計算になる。ここが「荒唐無稽ではない」と言われる根拠のひとつなんですよ。
室谷代表取締役ただ、こうしたAIインフラの話は、計算資源のコストと密接なんですよね。この辺りの構造はChatGPTとNVIDIAの関係を徹底解説でも扱っているので、あわせて見ると全体像がつかみやすいと思います。
売上成長の裏には、巨額の計算資源投資がある。だから単純な倍率だけでは測れない、という難しさなんです。
売上成長の裏には、巨額の計算資源投資がある。だから単純な倍率だけでは測れない、という難しさなんです。
テキトー教師DotAI 認定講師整理すると、従来のバリュエーションが効かない理由は、成長があまりに速く、将来予測の幅が極端に広いからです。同じ2兆ドルでも、悲観シナリオと楽観シナリオで意味がまるで変わってしまう。
これが「AI企業の価値をどう測るか」自体が新しい課題だと言われるゆえんです。
これが「AI企業の価値をどう測るか」自体が新しい課題だと言われるゆえんです。
「AIバブル」懸念とリスク——2兆ドルは割高なのか
室谷代表取締役ここでFTが挙げているのが、さっき言った「値段が付けられない巨大なリスク」と「値段が付けられない巨大な機会」です。リスクの代表が、AIの将来モデルが人類を絶滅させうるかもしれない、という議論。
FTは、この議論が投資家がいくら払うべきかという問いからスポットライトを奪ってしまった、と書いているんです。
FTは、この議論が投資家がいくら払うべきかという問いからスポットライトを奪ってしまった、と書いているんです。
テキトー教師DotAI 認定講師一方で、その同じ不確実性が、とてつもない機会にもなりうる。だからFTは「2兆ドルは金融的な幻覚(ハルシネーション)なのか」という問いを立てて、それを簡単には否定しないんですよ。
これが単なるバブル論でも、楽観論でもない、バランスの取れた論考にしている部分です。
これが単なるバブル論でも、楽観論でもない、バランスの取れた論考にしている部分です。
室谷代表取締役僕らの実感としても、AIに投資する側・使う側の両方で「この評価額は何を根拠にしているんだ」という疑問は常につきまといますよね。FTの整理は、割高かどうかを断定するのではなく、評価の前提そのものを問い直すものになっています。
テキトー教師DotAI 認定講師ですので、「2兆ドルは割高か」という問いに、この情報だけで白黒つけるのは危険です。FTが示しているのは、評価額の妥当性は成長予測とリスクの捉え方に大きく依存する、という構造なんです。
断定的な優劣や、他の具体的な数字を持ち出すのは、ここでは避けたいところです。
断定的な優劣や、他の具体的な数字を持ち出すのは、ここでは避けたいところです。
よくある質問:Anthropicの評価額・IPO時期・OpenAIとの違い
室谷代表取締役では、読者が気になりそうな点を、ソースで裏が取れる範囲で整理していきますね。
テキトー教師DotAI 認定講師まず「Anthropicの評価額はいくらか」。今回のFTの論考では、IPOで最大2兆ドル規模の評価につながる可能性がある、という数字が示されています。
ただし、これは上場時の想定であり、確定した評価額ではありません。より細かい現在の正確な評価額や、短期間での推移の詳細は、この情報ソースでは明らかにされていません。
ただし、これは上場時の想定であり、確定した評価額ではありません。より細かい現在の正確な評価額や、短期間での推移の詳細は、この情報ソースでは明らかにされていません。
室谷代表取締役次に「IPOの時期」。FTは、Anthropicが今月、IPOを申請する構えだったと書いています。
ただしその後の状況変化も記述されていて、具体的な申請日や上場時期が確定したとは、この情報だけでは言えません。
ただしその後の状況変化も記述されていて、具体的な申請日や上場時期が確定したとは、この情報だけでは言えません。
テキトー教師DotAI 認定講師「OpenAIとの違い」もよく聞かれます。Anthropicはダリオ・アモデイ氏らが2021年に設立した企業で、Claudeを開発し、OpenAIの主要競合にあたります。
OpenAIはサム・アルトマン氏が率い、上場を計画しつつも来年まで先送りする姿勢を示している、と。ただし両社の評価額を並べた具体的な比較数値は、この情報ソースには含まれていません。
OpenAIはサム・アルトマン氏が率い、上場を計画しつつも来年まで先送りする姿勢を示している、と。ただし両社の評価額を並べた具体的な比較数値は、この情報ソースには含まれていません。
室谷代表取締役「AIバブルでは」という疑問についても、FTは割高・暴落リスクを断定せず、評価の難しさと不確実性を論じる形になっています。ですので断定的な結論は控えるべきだと思います。
テキトー教師DotAI 認定講師最後に補足すると、ティッカーやIR情報、資金調達ラウンドの詳細な条件、円換算の具体額といった点は、今回のソースでは触れられていません。新しい数字が出てきたら、またこの掛け合いで追いかけていきましょう。
